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廃車と買取どちらが得?0円と言われた車に残る6つの出口
「値段はつきません」と言われた車にも、部品取り・輸出・解体還付という出口が残っています。自動車リサイクル法と重量税の廃車還付制度を公的資料から整理し、廃車と買取の分かれ道を6つの選択肢で比較しました。2026年9月8日時点の制度情報です。

「うちのはもう値段つかないですよ」
ディーラーでそう言われて、そのまま「じゃあ処分でお願いします」と言いかけた。走行18万km、13年落ち、エアコンも効かない。そりゃそうか、と思いますよね。
でも、その一言のあとに何が起きるかは、たぶん誰も説明してくれません。ここ、けっこう大事なところです。
結論から言うと、「0円」と言われた車には、まだ6つの出口が残っています。 そして厄介なことに、そのうちのひとつを選んだ瞬間に、他の出口が制度上ふさがります。 順番を間違えると戻れません。
この記事では、自動車リサイクル促進センター(JARC)と国土交通省、国税庁の公開資料をもとに、その分かれ道を整理します。2026年9月8日時点の制度にもとづく内容です。
この記事の目次
- 時間がない人向け:3行の結論 🚗
- 「値段がつかない」と「0円で処分」は、まったく別の話です 💰
- なぜ動かない車に値がつくことがあるのか 🔧
- 1. 部品取り(中古部品としての再利用)
- 2. 中古車としての輸出
- 3. 鉄・非鉄としての素材価値
- 6つの出口を同じ項目で比べる 📊
- 1位:廃車買取(解体業の許可を受けた事業者)
- 2位:中古車買取店に、自分で選んで個別に持ち込む
- 3位:輸出向けの買取を行う業者
- 4位:一括査定サービス
- 5位:ディーラー下取り
- 6位:自分で運輸支局に行って手続きする
- 一度「使用済自動車」として報告されると、道は閉じます ⚠️
- 廃車を選んだあとの流れと期限 📋
- ステップと期限
- 一時抹消と永久抹消、どう違うのか
- 還付額はいくらか
- 自動車税種別割の還付も忘れずに
- 公的資料から見えてくること:手数料の桁が語るもの 📊
- よくある質問 📋
- Q1. リサイクル券をなくしました。廃車できませんか?
- Q2. 「無料で引き取ります」は得なのでしょうか?
- Q3. 車検が3か月残っています。廃車と売却、どちらがいいですか?
- Q4. 事故で全損になった車でも還付は受けられますか?
- Q5. 「輸出したほうが高い」と言われました。本当ですか?
- この記事のまとめ
時間がない人向け:3行の結論 🚗
- まだ自走できて、車検が半年以上残っている → 中古車として複数社に見積もりを取る。ここで先に「廃車で」と言わないこと
- 動かない・過走行・車検切れ → 廃車買取(解体業の許可を持つ事業者)に当たる。重量税と自動車税の還付が別に戻る
- 迷っている → 引取業者に渡す前に止める。使用済自動車として報告された車は、再販も中古車輸出も原則できなくなります
「値段がつかない」と「0円で処分」は、まったく別の話です 💰
この章で言いたいのはひとつだけです。査定額0円と、あなたの手元に0円しか残らないことは、イコールではありません。
車を手放すとき、あなたに戻る可能性のあるお金は4種類あります。
| お金の種類 | どこから戻るか | 中古車として売る場合 | 使用済自動車(廃車)にする場合 |
|---|---|---|---|
| 車両価値の金額 | 買主(買取店・下取り店・解体業者) | 〇 | 〇(値がつくことがある) |
| リサイクル預託金相当額 | 買主 | 〇(車両価格に上乗せして受け取る) | ×(すでに預けた分が使われる) |
| 自動車重量税の還付 | 国(税務署) | ×(制度がない) | 〇(車検残存1か月以上) |
| 自動車税種別割の還付 | 都道府県 | 抹消すれば月割で戻る | 抹消すれば月割で戻る |
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ここが分かりにくいところです。順に説明します。
リサイクル預託金というのは、新車を買ったときか車検のときに、あなたが先払いしているお金です。シュレッダーダスト料金・エアバッグ類料金・フロン類料金・情報管理料金の合計を指します(資金管理料金は含みません)。
このお金の扱いが、売り方で正反対になります。経済産業省・環境省・自動車リサイクル促進センターが公表しているQ&Aには、こう書かれています。
- 中古車として下取る場合で、リサイクル料金が預託済みなら、事業者は「車両価格に加えリサイクル預託金相当額を譲渡者(お客様)に中古車売買代金に含めて支払うことが必要」
- 使用済自動車として引き取る場合で、預託済みなら「リサイクル料金に関するやり取りはありません」
つまり、中古車として売ると預託金相当額が返ってきて、廃車にすると返ってこない。自動車リサイクルシステムのユーザー向けページにも「リサイクル料金はフロン類、エアバッグ類、シュレッダーダストの処理等に使われるため、返金されません」と明記されています。
じゃあ廃車は損なのか。そうとも限りません。廃車には、中古車売却にはない「自動車重量税の還付」があります。 同じQ&Aに、はっきりこう書いてあります。「中古車流通時には、自動車重量税の還付制度はありません」。
金額の目安を出しておきます。リサイクル料金の水準は、自動車リサイクル促進センターの公表で3品目合計おおむね6,000円〜18,000円程度。経済産業省・環境省・JARCが制度開始前に示した区分別の目安では、普通乗用車が1万円〜1万8千円程度、軽・小型乗用車が7千円〜1万6千円程度でした(いずれもエアバッグ4個・エアコン有りの想定)。
一方、重量税の還付は車検の残りしだいです。国税庁のQ&Aに載っている計算例では、納付済み24,600円・残存5か月・車検期間2年で、還付額は5,125円。
ざっくり言うと、どちらも数千円〜2万円弱のレンジです。 「廃車と買取、どっちが得か」がこの2つだけで決まることは、あまりありません。効いてくるのは、次に説明する車両本体の値段のほうです。
なぜ動かない車に値がつくことがあるのか 🔧
この章を読むと、「0円」と言われた車の値段がどこから出てくるのかが分かります。理由は3つです。
1. 部品取り(中古部品としての再利用)
解体業の許可を受けた事業者は、使用済自動車を解体して部品を取り出せます。経済産業省・環境省・JARCのQ&Aでは、使用済自動車から部品取りを行うには都道府県知事等から解体業の許可を受けることが義務付けられていると明示されています。許可基準にはコンクリート床面や油水分離装置を備えた解体作業場、囲いのある保管場所などが並びます。
裏を返すと、部品取りは「業として成立する」から許可制になっているということです。エンジンが動かなくても、ミッション、コンピュータ、ドア、ヘッドライト、ホイール、触媒は生きています。同じ型の車が国内にまだ多く走っていれば、その部品には需要があります。
なお同じQ&Aには、所有者の依頼を受けてカーステレオやカーナビなどの付属品を取り外す行為は、業としての解体には当たらないとも書かれています。ここは分けて考えてください。
2. 中古車としての輸出
日本の中古車は海外で走り続けます。ここで効いてくるのが、日本の車がそもそも長生きだという事実です。
自動車検査登録情報協会の調査(令和7年3月末時点)によると、
- 乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.35年
- うち普通乗用車12.74年、小型乗用車13.97年
- 貨物車は16.29年で、13年連続の長期化
- 乗用車の平均車齢は9.44年で、31年連続の最高齢更新
平均使用年数は「初度登録から抹消登録までの平均年数」を示す数字です(一時抹消も含むため、完全にスクラップされるまでの年数とは少し違う、と協会自身が注記しています)。
13年落ちは、統計の平均とほぼ同じということです。「もう限界」に見えても、市場全体から見れば標準的な年齢にすぎません。国内で商品にならない年式・過走行の車が、そのまま海外の道路事情のなかでは十分に商品になる。だから輸出向けの買取が成り立ちます。
3. 鉄・非鉄としての素材価値
部品にもならず輸出にも向かない車でも、車体は金属です。自動車リサイクル制度では、有用な部品や鉄などの金属資源を回収したあとに残る樹脂やゴムのクズをシュレッダーダスト(ASR)と呼びます。逆に言えば、金属資源はASRになる前に回収されているということです。この分は素材相場に連動して動きます。
この3つのどれに当たるかで、同じ車の見積もりが変わります。 国内小売しか出口を持たない店にとっては0円、部品を捌ける解体事業者や輸出先を持つ業者にとっては数万円。査定額の差は「値切っている/値切っていない」ではなく、多くの場合、その業者が持っている出口の違いです。
選び方の基準
ここから6つの出口に順位をつけます。先に基準を出します。報酬や紹介料では順番を変えていません(このサイトはアフィリエイトリンクを使っていません)。
順位づけに使ったのは次の5点です。
- 手元に残る合計額の期待値 — 車両価格だけでなく、重量税還付・自動車税還付・リサイクル預託金相当額まで含めた合計
- 動かない車・車検切れの車でも受け付けるか — レッカー費用の負担も含む
- 抹消登録の手続きを代行してもらえるか — 自分で運輸支局に行くかどうか
- 読者側の負担(営業電話・訪問査定の回数)
- 後戻りできるか — 使用済自動車として報告されると制度上ふさがる道があるため、その可逆性
この5点は同じ重みではありません。 1と5を重く見ています。金額と、取り返しがつくかどうかです。
そして先に言っておきます。1位が全員の正解ではありません。 車の状態と、あなたが手間をどれだけ引き受けられるかで答えは変わります。各項目に「向いている人」と「弱点」を必ず書きました。
6つの出口を同じ項目で比べる 📊
| 順位 | 出口 | 車両価格の期待 | 重量税還付 | 動かない車 | 手続き代行 | 営業電話 | 後戻り |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 廃車買取(解体業の許可事業者) | 状態しだいで数千〜数万円 | 〇 | 対応することが多い | 代行が一般的 | 少なめ | ×(報告後は不可) |
| 2 | 中古車買取店に個別に持ち込む | 出口を持つ店なら上振れ | ×(中古車扱い) | 店による | 代行が一般的 | 自分で選んだ店だけ | 〇 |
| 3 | 輸出向けの買取を行う業者 | 年式・車種次第で上振れ | ×(中古車扱い) | 業者による | 代行が一般的 | 少なめ | 〇 |
| 4 | 一括査定サービス | 競争で上がることがある | ×(中古車扱い) | 断られることがある | 代行が一般的 | 多い | 〇 |
| 5 | ディーラー下取り | 0円提示になりやすい | 引取業者登録があれば〇 | 対応することが多い | 代行が一般的 | なし | 状況による |
| 6 | 自分で運輸支局まで手続き | 車両価格は別途交渉 | 〇 | 自分でレッカー手配 | しない | なし | 〇 |
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※2026年9月8日時点の制度を前提にした整理です。金額はいずれも車種・年式・状態・時期・在庫状況で変わります。
以下、1つずつ見ていきます。
1位:廃車買取(解体業の許可を受けた事業者)
向いている人:自走できない、車検が切れている、走行20万km近い、事故で骨格を痛めている車を持っている人。
車両価格そのものは大きくありません。ただし、この出口には重量税の還付が付いてきます。 さらに、多くの事業者が引取からレッカー、解体、永久抹消登録の代行までを一括で扱います。運輸支局に行かなくていいのは、平日に休みを取れない人にとってかなり大きいです。
弱点は2つあります。
ひとつめ。一度「使用済自動車」として引取報告されると、その車は戻ってきません。 後述しますが、再販も中古車輸出も制度上できなくなります。「実は輸出でもっと値がついたかもしれない」と後から気づいても遅い。
ふたつめ。引取費用・運搬費用を請求される場合があります。 これは違法ではありません。経済産業省・環境省・JARCのQ&Aは、適正処理費用や運搬費用をリサイクル料金とは別に最終所有者に負担してもらうことは可能としています。ただし同時に「何故そのような費用が必要となるのかを、最終所有者に対し明確に説明して頂くことが必要」とも書いています。説明を求めていい、ということです。 内訳を出さない請求は、そこで立ち止まってください。
2位:中古車買取店に、自分で選んで個別に持ち込む
向いている人:まだ自走でき、車検が数か月以上残っている車を持っている人。時間より金額を優先したい人。
3社くらい回れば、店ごとの出口の違いが見積もりに出ます。国内小売中心の店、輸出に強い店、部品需要を見ている店で、同じ車の評価が変わります。「0円です」がその車の絶対値ではないと分かるのは、2社目に行ったときです。
弱点。 平日の日中に何度も足を運ぶ必要があります。そして中古車として売る以上、重量税の還付は受けられません。 車検の残りが1年近くある車なら、その分は買取価格に織り込まれているはずですが、本当に織り込まれているかは見えません。ここは正直、外からは検証しづらいと思いました。
3位:輸出向けの買取を行う業者
向いている人:過走行だが機関はまだ生きている、海外で需要のある車種・年式の車を持っている人。
ここは車種の当たり外れが大きい出口です。当たれば国内相場を上回りますが、外れれば普通の買取と変わりません。「輸出だから高い」は成り立ちません。 需要のある特定の車種・グレードだけの話です。
弱点。 車種を外すと何の上積みもありません。加えて、輸出前提で売る場合は中古車としての取引にする必要があります。 使用済自動車として引取報告された車は輸出抹消仮登録申請も輸出予定届出もできなくなるためです。話の順番を間違えないでください。
なお、リサイクル料金が預託された車を輸出した場合、所有者は所定の手続きで料金の取戻しができます。期間は輸出した日から2年間で、これを過ぎると時効で消滅します。手数料はパソコン申請210円+消費税/台、一般申請464円+消費税/台(2019年4月1日改定)。ただし実務上、これは輸出業者側が扱うことが多い部分です。
4位:一括査定サービス
向いている人:複数社を回る時間がなく、電話が鳴ることを許容できる人。
複数社が同時に見積もることで、金額が動くことはあります。仕組みとしては合理的です。
弱点をはっきり書きます。 申し込んだ直後から電話が集中します。これは業者が意地悪なのではなく、先に接触した業者が有利になる構造だからです。参加業者にとって申込情報には獲得コストがかかっていて、後から連絡した業者は他社の提示額の後追いになる。だから全員が急ぎます。
対策としては、連絡可能な時間帯を申込時に絞る、査定日をあらかじめ1日にまとめる、といったところです。それでも静かではありません。
もうひとつの弱点。動かない車・車検切れの車は、そもそも受け付けてもらえないことがあります。 引取に費用がかかる車は、参加業者の採算に合わないためです。「0円と言われた車」の出口としては、実は向いていない可能性があります。
5位:ディーラー下取り
向いている人:次の車を同じディーラーで買う人。手続きを一切考えたくない人。
ワンストップで終わります。手間はいちばん少ない。
弱点。 古い車・過走行車で0円提示になりやすいのは、ディーラーが持っている出口が限られているからです。自社の中古車店で売れない車は、業者オークションに流すか処分するしかない。「うちでは値がつかない」は正確な表現で、「どこでも値がつかない」ではありません。
もうひとつ。下取りで0円と言われた車を「ではこちらで処分します」となった場合、それが中古車としての下取りなのか、使用済自動車としての引取りなのかを確認してください。 使用済自動車として引き取れるのは、都道府県知事等の登録を受けた引取業者だけです。登録を受けずに使用済自動車を引き取った場合、自動車リサイクル法上は1年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。
6位:自分で運輸支局に行って手続きする
向いている人:平日に動ける人。手数料をとにかく抑えたい人。相続などで名義が複雑な人。
永久抹消登録の登録手数料そのものは無料です(軽自動車の解体返納も手数料は無料)。重量税還付申請も、抹消の手続きと同時に出せます。
弱点。 平日日中に運輸支局か軽自動車検査協会へ行く必要があります。しかも解体が終わって「解体報告記録」がなされたあとでないと手続きできません。 解体業者からの連絡待ちが挟まります。そして解体報告記録日から15日以内という期限があります。
書類も地味に面倒です。永久抹消登録なら申請書、印鑑証明書、車検証、ナンバープレート、住所が変わっていれば住民票や戸籍の附票。重量税還付を受けるなら還付申請書に金融機関の口座情報。代理人が行くなら委任状。軽自動車の解体返納では、還付申請にマイナンバーの記載と本人確認書類が必要です。
正直、この選択肢を6位にしたのは金額の問題ではなく、平日1日を使う価値があるかという問題です。 手続き代行の相場と比べて、割に合うかで判断してください。
一度「使用済自動車」として報告されると、道は閉じます ⚠️
ここが、この記事でいちばん知っておいてほしいところです。
経済産業省・環境省・自動車リサイクル促進センターのQ&Aに、こう書かれています。
引取業者が使用済自動車として引き取り、電子マニフェストによる引取報告を行った場合、その情報は情報管理センターから国土交通省等に報告され、その後中古新規登録・検査、輸出抹消仮登録申請・輸出予定届出は不可能となります。
つまり、引取業者が「使用済自動車として引き取りました」とシステムに報告した瞬間に、その車は国内で再登録することも、中古車として輸出することもできなくなります。
同じQ&Aは、あとから「やっぱり中古車として下取ったことにする」のも極めて困難だとしています。理由は2つ挙げられています。リサイクル預託金相当額のやり取りをやり直す必要があること。そして、重量税還付が受けられなくなることをお客に納得してもらう必要があること。
「0円ですね、ではこちらで処分しておきます」の一言のあとに起きるのは、これです。
だから順番はこうなります。
- まず「中古車として売れる余地があるか」を確認する(複数社に当たる)
- どこも中古車として引き取らないと分かってから、使用済自動車として引き渡す
逆にすると戻れません。急がされたときほど、ここで一度止まってください。
なお、渡したあとの処理状況は自分で追えます。自動車リサイクルシステムでは、最終ユーザー自身が車台番号を入力して、引取業者に引き渡した後の処理状況を確認できる機能が2008年5月から提供されています。リサイクル料金の照会も、車台番号や登録番号から可能です(利用時間は7:00〜24:00)。
廃車を選んだあとの流れと期限 📋
廃車ルートを選んだ場合、何がどの順番で起きるのか。ここが分かっていないと、還付を取り損ねます。
ステップと期限
- 引取業者に引き渡す — 引取業者は都道府県知事等の登録を受けた事業者です。事業所ごとにタテ・ヨコ20cm以上の標識(引取業者であること、名称、登録番号)を掲示することになっています
- 使用済自動車引取証明書を受け取る — 永久抹消登録に必要な書類です。リサイクル券がある場合はB券が使われます
- 解体される — 引取業者→フロン類回収業者→解体業者→破砕業者と流れ、各段階が電子的に報告されます
- 解体報告記録がなされる — 引取業者から連絡が来ます
- 解体報告記録日から15日以内に、永久抹消登録または解体届出 — 同時に自動車重量税の還付申請書を提出します
- おおむね2か月半後に重量税が還付される — 運輸支局等に提出されてから、所轄税務署長により還付金が支払われるまでの目安です
一時抹消と永久抹消、どう違うのか
用語がややこしいので整理します。
| 手続き | どういう場合 | 重量税の還付 |
|---|---|---|
| 一時抹消登録 | 使用を一時的に中止する場合 | 単独では対象外 |
| 解体届出 | 一時抹消済みの車を、リサイクル法に基づき解体したとき | 〇(同時申請が必要) |
| 永久抹消登録 | リサイクル事業者に引き渡し、適正に解体処分した場合 | 〇(同時申請が必要) |
| 輸出抹消仮登録 | 輸出する場合 | ×(輸出は還付対象外) |
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「一時抹消して駐車場に置いておく」だけでは、重量税は戻りません。 解体まで進んで、解体を事由とする永久抹消登録か解体届出を出して、そのときに同時に還付申請をして、はじめて還付されます。国税庁は還付の要件を2つ挙げています。
- 解体を事由とする永久抹消登録申請書または解体届出書を運輸支局等に提出すると同時に、還付申請書を提出したものであること
- 車検残存期間が1か月以上あること
車検があと3週間、という状態なら還付はありません。ここは切り捨てです。
還付額はいくらか
国税庁のQ&Aに載っている考え方はシンプルです。
還付金額 = 納付済みの重量税額 × 残存車検期間 ÷ 車検有効期間
例として示されているのは、納付済み24,600円・残存5か月・車検期間2年(24か月)で5,125円。月割で計算し、端数は切り捨てです。
車検を通した直後に廃車にすると多く戻り、車検切れ直前だとゼロ。 当たり前ですが、廃車のタイミングを1〜2か月動かせるなら、ここは効きます。
自動車税種別割の還付も忘れずに
こちらは都道府県の税金です。東京都主税局の説明では、年度途中に抹消登録すると、抹消登録した月の翌月から月割で減額され、納付済みの分が還付されます。6月に廃車したなら、4〜6月の3か月分が課税、7月〜翌年3月の9か月分が還付という計算です。
還付通知は自動的に送られてきます。都の説明では、抹消登録等が確認されてから1か月程度。金額が5万円以下ならゆうちょ銀行の振替払出証書が届き、5万円を超える場合は口座振替依頼書で指定口座に振り込まれます。愛知県も同様に「1年分納税いただいた自動車税は月割で還付されます」と案内しています。
軽自動車税は事情が違います。 軽自動車税は市区町村の税金で、自動車税種別割のような月割還付の仕組みが用意されていません。軽自動車を廃車にする場合、戻るのは重量税だけと考えておくほうが安全です。
公的資料から見えてくること:手数料の桁が語るもの 📊
ここは他ではあまり書かれていない話です。少しだけ制度の裏側を覗きます。
千葉県が公開している自動車リサイクル法の手続き案内には、業の登録・許可にかかる手数料が載っています。
| 業種 | 必要な手続き | 新規申請 | 更新 |
|---|---|---|---|
| 引取業 | 登録 | 5,000円 | 4,000円 |
| フロン類回収業 | 登録 | ― | ― |
| 解体業 | 許可 | 78,000円 | 70,000円 |
| 破砕業 | 許可 | 84,000円 | 77,000円 |
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※千葉県の公表値。手数料は自治体により異なる場合があります。
引取業が5,000円の「登録」なのに対し、解体業は78,000円の「許可」です。 この差は事務コストの差ではなく、審査の重さの差です。解体業の許可には、コンクリート床面・油水分離装置を備えた解体作業場、囲いのある保管場所といった施設基準に加え、標準作業書の常備、事業計画書や収支見積書からの継続性判断といった能力基準まで課されています。
無許可で部品取りを行った場合の罰則も重い。自動車リサイクル法上は1年以下の懲役または50万円以下の罰金。さらに、使用済自動車は金銭的価値の有無にかかわらず廃棄物処理法上の廃棄物とみなされるため、廃棄物処理法の許可もない場合は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金となります。
この数字が読者にとって何を意味するか。
「車を無料で引き取ります」というチラシや、飛び込みの訪問。それ自体が悪いとは言いませんが、その事業者が何の登録・許可を持っているかは確認できます。 千葉県は「引取業者一覧」「解体業者一覧」などをエクセル・PDF形式で公開しています。他の自治体も同様の一覧を出しています。自動車リサイクルシステムのサイトからも、業種別・地域別に事業者を検索できます。
さらに、引取業者には事業所ごとに標識(20cm以上、名称と登録番号を記載)の掲示が求められています。看板を見て、番号を控えて、県の一覧と照らす。 これで確認できます。
もうひとつ。制度の設計思想も読み取れます。制度開始前のQ&Aには、リサイクル料金を先に預けてもらう仕組みにしたことで「使用済自動車の取引価格はその分上昇し、概ね有価となることが想定されています」と書かれています。
つまり、「使用済自動車には値段がつくのが基本」という前提で制度は組まれているということです。もちろん実際には引取費用や運搬費用がかかる車もあり、それを別途請求することは認められています。でも、費用を請求されるほうが例外扱いだという順序は知っておいていいと思います。
(なお、制度開始前の資料に載っている資金管理料金は380円/480円ですが、現行の公表額は新車購入時預託290円/台、引取時預託410円/台です。2017年4月1日に改定されています。古い資料を読むときは金額の時点にご注意ください。)
よくある質問 📋
Q1. リサイクル券をなくしました。廃車できませんか?
リサイクル料金の預託状況は、車台番号や登録番号から自動車リサイクルシステムのサイトで照会できます。券そのものがなくても、預託済みかどうかは確認できる仕組みです。実務上の必要書類は手続き先に確認してください。
Q2. 「無料で引き取ります」は得なのでしょうか?
「引取費用がかからない」という意味であって、「車両価値が0円」という意味とは限りません。制度上、使用済自動車の取引価格は概ね有価になることが想定されています。車両価格・リサイクル預託金の扱い・重量税還付の3つを、それぞれ分けて確認してください。 ひとまとめに「無料」と言われたときは、内訳を聞いていい場面です。
Q3. 車検が3か月残っています。廃車と売却、どちらがいいですか?
車検残り3か月なら、重量税の還付は残存期間分のみ。前述の計算式で言えば、2年車検の3か月分ですから、納付済み額の8分の1程度です。金額としては大きくありません。
判断の軸は還付ではなく、中古車として値がつくかどうかです。 まず中古車としての見積もりを取ってください。値がつかないと分かってから廃車を選んでも、還付は受けられます(車検残存が1か月を切る前に手続きが終わるようにしてください)。
Q4. 事故で全損になった車でも還付は受けられますか?
自動車リサイクル法に基づき適正に解体され、解体を事由とする永久抹消登録または解体届出と同時に還付申請をした場合に、車検残存期間に対応する重量税が還付されます。損傷の程度そのものは要件になっていません。ただし車検残存期間が1か月以上あることが必要です。
保険会社が車両を引き取る形になる場合は、最終所有者が誰になるか、還付申請を誰が行うかが変わります。ここは手続きの前に確認しておいたほうがいい部分です。
Q5. 「輸出したほうが高い」と言われました。本当ですか?
車種と年式によります。日本の乗用車の平均使用年数は13.35年(令和7年3月末時点)で、13年落ちは統計上まったく珍しい水準ではありません。海外で需要のある車種なら国内相場を上回ることもありますが、すべての車に当てはまる話ではありません。
ひとつだけ制度上の注意があります。使用済自動車として引取報告された車は、輸出抹消仮登録申請も輸出予定届出もできません。 輸出の可能性を残したいなら、中古車としての取引として進める必要があります。
この記事のまとめ
- 「値段がつかない」と「手元に0円しか残らない」は別の話です。 車両価格・リサイクル預託金相当額・重量税還付・自動車税還付の4つを分けて考えてください
- 中古車として売ると預託金相当額が戻り、廃車にすると重量税が戻ります。 どちらか一方しか選べません
- 使用済自動車として引取報告された時点で、再販も中古車輸出もできなくなります。 ここは戻れないので、順番を間違えないこと
- 廃車を選ぶなら、解体報告記録日から15日以内に永久抹消登録または解体届出と、還付申請を同時に。 車検残存1か月未満だと還付はありません
- 事業者の登録・許可は自分で確認できます。 自治体が公開する事業者一覧と、事業所に掲示された標識の登録番号を照らしてください
次にやること:
いきなり廃車を申し込む前に、まず自動車リサイクルシステムのサイトで、自分の車のリサイクル料金の預託状況を照会してみてください。 車台番号か登録番号があれば数分です。預託済みか未預託かで、中古車として売る場合の受取額も、廃車にする場合の支払いも変わります。ここが分かってから交渉に入ると、相手の説明が正しいかどうかを自分で判断できます。
なお、料金や手数料、必要書類は改定されることがあります。手続きの直前には、自動車リサイクル促進センターおよび国土交通省・国税庁の各サイトで最新の内容をご確認ください。
出典
- No.7193 使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度(国税庁) 2026-09-08 閲覧
- 使用済自動車に係る自動車重量税廃車還付制度について(制度概要・還付金額の計算例)(国税庁・国土交通省・軽自動車検査協会) 2026-09-08 閲覧
- 使用済自動車に係る自動車重量税廃車還付制度(一般財団法人 自動車検査登録情報協会) 2026-09-08 閲覧
- 平均使用年数(令和7年3月末現在)(一般財団法人 自動車検査登録情報協会) 2026-09-08 閲覧
- 平均車齢(令和7年3月末現在)(一般財団法人 自動車検査登録情報協会) 2026-09-08 閲覧
- 自動車リサイクル法QA(使用済自動車の引取り・部品取り・罰則)(福島県) 2026-09-08 閲覧
- 自動車税(種別割)|自動車と税金(東京都主税局) 2026-09-08 閲覧
- 解体業者の許可又は許可の更新(自動車リサイクル法)(千葉県) 2026-09-08 閲覧
- 手続・申請(自動車リサイクル法)(千葉県) 2026-09-08 閲覧
- 資金管理料金・輸出取戻し手数料(公益財団法人 自動車リサイクル促進センター) 2026-09-08 閲覧
- リサイクル料金内訳|リサイクル料金について(公益財団法人 自動車リサイクル促進センター) 2026-09-08 閲覧
- 自動車リサイクルシステム(リサイクル料金照会・処理状況検索・関連事業者検索)(自動車リサイクルシステム(公益財団法人 自動車リサイクル促進センター)) 2026-09-08 閲覧