車買取の解体新書
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プリウス・アクア・ノートe-POWER|買取価格が落ちる分岐点

ハイブリッド車の買取価格が落ちる分岐点を、プリウス・アクア・ノートe-POWERの3車種で比較しました。メーカーの駆動用バッテリー保証、世代別の中古車平均価格、オークション統計をもとに、何年目・何万kmで「ハイブリッドは高く売れる」が崩れるかを整理します。

プリウス・アクア・ノートe-POWER|買取価格が落ちる分岐点

車検の見積もりを渡されて、ふと「これ、そろそろ売ったほうがいいのかな」と思う。走行距離は9万km台。買ったときに営業さんから「ハイブリッドはリセールいいですよ」と言われたのを、なんとなく覚えている。

結論から言うと、その「リセールいい」が効くのは新車登録から5年までです。理由は、メーカーの駆動用バッテリー保証が5年で切れるから。距離を走っていなくても切れます。

そしてこの分岐点、3車種で効き方がはっきり違いました。


この記事の目次
  1. 時間がない人へ、3行だけ 🚗
  2. 5年で切れる、というのがピンとこない人へ 💰
  3. 3車種を同じ項目で並べる 📊
  4. 1位:プリウス。多走行でも売り先が残る 🚗
  5. 2位:アクア。電池は強いが、初代と現行が別物すぎる
  6. 3位:ノートe-POWER。保証の中身が一番わかりにくい
  7. 「ハイブリッドは高く売れる」は何年目で崩れるのか
  8. 公的な数字で確かめる 📊
  9. ① いま、オークション相場は高い
  10. ② 日本のクルマは高齢化していて、10年落ちが普通
  11. ③ 売却トラブルの相談は、実際に増えている
  12. 一括査定に出す前に、不利益のほうを先に書きます 🔧
  13. Q. ハイブリッドバッテリーの警告が出ています。直してから売ったほうがいい?
  14. Q. 10万km超えたら、もう値段はつかない?
  15. Q. 保証は次のオーナーに引き継がれる?
  16. Q. 車検は通してから売るべき?
  17. Q. 電話の量を減らす方法は?
  18. この記事のまとめ

時間がない人へ、3行だけ 🚗

  • 5年以内で売るなら:3車種とも保証が残っているので、電池リスクを理由に引かれにくい。ここが一番強い。
  • 5〜10年で売るなら:トヨタ(プリウス・アクア)が有利。認定中古車として売り直すときに10年目まで/20万km以内のハイブリッド保証が付くので、買い手が値を付けやすい。
  • 10年超で売るなら:車種差より「その個体の状態」が主役になる。プリウスは10〜15万km帯の在庫が1,405台あり、多走行でも売り先が残っている。

査定が変わる分岐点は「5年」と「10年」 新車登録 5年 / 10万km 10年 / 20万km メーカー特別保証の中 駆動用電池の修理費リスクは まだメーカー側にある 保証が切れた後 トヨタ車は認定中古車の HV保証で買い手が残る 10年超 車種より個体差と 整備記録が効く ※「5年または10万km」は早いほうが適用されます。年5,000kmしか走らない人でも、5年で終わります。 ※トヨタの認定中古車ハイブリッド保証は初度登録から10年目まで、累計20万km以内(トヨタ/レクサス車限定)。


5年で切れる、というのがピンとこない人へ 💰

ここ、勘違いしやすいところです。

トヨタの特別保証は「新車登録日から5年間または10万km走行時点のいずれか早い方まで」。この特別保証の中にハイブリッド機構が入っています。具体的には、ハイブリッドトランスアクスル、スターター兼発電機、メインバッテリー(駆動用電池)、インバーター、DC-DCコンバーター、ハイブリッド制御コンピューター、電池コンピューター、冷却系。つまり「ハイブリッドらしい部品」はほぼここです。

トヨタ公式の特別保証ページ。ハイブリッド機構が5年・10万kmで区切られている
トヨタ公式の特別保証ページ。ハイブリッド機構が5年・10万kmで区切られている(toyota.jp・2026-09-16時点の画面)

日産も構造は同じです。一般保証が3年または6万km、特別保証が5年または10万km。e-POWER車の駆動用リチウムイオンバッテリーは、この特別保証の枠内という説明が公式FAQに書かれています。

日産公式FAQ。e-POWERのリチウムイオンバッテリーの保証について書かれている
日産公式FAQ。e-POWERのリチウムイオンバッテリーの保証について書かれている(faq2.nissan.co.jp・2026-09-16時点の画面)

問題は「いずれか早い方」という条件です。

年1万kmしか走らない人は、5年目でまだ5万km。距離はぜんぜん余っています。でも保証は終わります。距離を残しても、時間で消える。 ここ、営業トークでは滅多に説明されない部分だと思いました。

もうひとつ、地味に大事な話。トヨタのバッテリー保証ページには、BEV(bZ4Xなど)について「10年または20万km」「充電容量が新車時の70%を下回ったら無償交換」という容量保証が明記されています。日産も、リーフのようなEVには「8年または16万km」「容量計が9セグメントを割り込んだら修理・交換」という容量保証を置いています。

一方、ハイブリッドとe-POWERの駆動用電池には、この「容量が減ったら直す」という保証の書き方がありません。 壊れたら保証、劣化したら対象外。日産の中古車向けバッテリー延長保証も、対象は24kWh駆動用バッテリー搭載のリーフで、e-POWER車は対象外と明記されています(しかも新規加入は2021年4月30日で終了済み)。

査定額の話に戻すと、ここが効きます。業者が怖いのは「壊れた」ではなく「じわじわ性能が落ちた個体」のほう。保証で救えない領域だからです。


選び方の基準

「おすすめ」や「順位」を出す以上、基準を先に置きます。報酬で順番を入れ替えるようなことはしていません。このサイトはまだアフィリエイトリンクを貼っていないので、そもそも入れ替える理由がありません。

順位を決めた5つの基準 ①保証の設計 切れた後に 受け皿があるか ②電池の種類 ニッケル水素か リチウムイオンか ③流通量 掲載台数と 扱う店の数 ④世代交代 新型が出た直後は 先代が下がる ⑤多走行 10万km超の 在庫があるか 重み付けの考え方 ①と③を重く見ました。売るときに「次の買い手が想像できるか」が、査定額の下支えになるからです。

  • ① 保証の設計 — メーカー保証が切れた後、その車を安心して売り直せる公式のスキームがあるか。
  • ② 電池の種類 — ニッケル水素かリチウムイオンか。交換時の考え方が変わります。
  • ③ 流通量 — 中古車として何台流通し、何店舗が扱っているか。買い手の数がそのまま価格競争になります。
  • ④ 世代交代のタイミング — 新型が出た直後、先代は落ちます。3車種とも直近10年で世代交代済みです。
  • ⑤ 多走行の受け皿 — 10万km超の在庫がどれだけあるか。ここが薄いと、多走行になった瞬間に値が飛びます。

数字は2026年9月16日時点の各社公表値です。中古車相場は日々動きます。


3車種を同じ項目で並べる 📊

中古車の流通量(2026年9月16日時点・カーセンサー掲載) 台数が多いほど、業者にとって「売り先が読める車」になります プリウス 9,148台 プリウス アクア 6,768台 ノート 5,393台 取扱店舗数:プリウス3,867店/アクア3,416店/ノート2,472店

項目 プリウス アクア ノート(e-POWER含む)
駆動用電池の保証 特別保証 5年・10万km 特別保証 5年・10万km 特別保証 5年・10万km
保証切れ後の公式な受け皿 認定中古車のHV保証(10年目まで/20万km以内) 同左 ワイド保証(最長2年・走行距離無制限)
電池の種類 世代により異なる ニッケル水素(現行はバイポーラ型) リチウムイオン
中古車掲載台数 9,148台 6,768台 5,393台
取扱店舗数 3,867店 3,416店 2,472店
中古車価格帯 198〜550万円 48〜350万円 1〜306万円
新車時価格 275〜464.5万円 198〜323.8万円 203〜320.3万円
現行型の中古車平均 324.7万円 190.7万円 168.4万円
先代の中古車平均 163.7万円 79.2万円 73.8万円
10〜15万km帯の在庫 1,405台 925台 (年式別のみ公表)

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数字だけ見ると、プリウスの厚みが目立ちます。掲載9,148台に対して扱う店が3,867店。1店あたり2.4台弱で、特定の大型店に偏っていないということです。

ノートは5,393台を2,472店。1店あたり2.2台で、実は偏り方は似ています。差が出ているのは絶対数のほう。


1位:プリウス。多走行でも売り先が残る 🚗

向いている人:走行距離が10万kmを超えてしまった人。年式が古い人。

プリウスを1位にした理由は、走行距離別の在庫分布です。カーセンサー掲載分で最も多いのが5〜7万kmの1,534台、その次が10〜15万kmの1,405台。つまり10万km超えのプリウスは、市場で普通に商品として扱われています。

これは地味に大きいです。多走行車の在庫が薄い車種だと、業者は「仕入れても売れる保証がない」から慎重になります。逆に、10万km超の在庫が1,400台並ぶ市場なら、値が付く理屈が立つ。

保証の面でも有利です。トヨタ認定中古車では、ハイブリッド機構を初度登録年月から10年目まで(または3年間の長い方)、累計走行距離20万km以内で無償保証します。トヨタ/レクサス車限定です。

トヨタ認定中古車のハイブリッド保証ページ。10年目まで/20万km以内と明記されている
トヨタ認定中古車のハイブリッド保証ページ。10年目まで/20万km以内と明記されている(toyota.jp・2026-09-16時点の画面)

ここ、正直かなり驚きました。新車で買うと5年・10万km。認定中古車として買うと10年目まで・20万km。 同じ車なのに、中古で買ったほうが長い。おそらく中古ハイブリッドに対する購入者の不安を潰すための設計だと思いますが、売る側から見ると「保証を付け直して売れるルートが存在する」という意味になります。5年を過ぎたトヨタのハイブリッドが極端に崩れにくいのは、これが効いています。

弱点:2022年12月に現行型が出ています。世代交代直後は先代が下がるのが普通で、実際に4代目(2015年12月〜2022年11月)の中古車平均は163.7万円、現行型は324.7万円。倍近い差です。4代目を持っている人が「プリウスだから高い」と期待すると、ギャップを感じるはずです。

もうひとつ。3代目(2009年5月〜2015年11月)の中古車平均は61.3万円で、2代目の53.2万円とほとんど差がありません。この帯まで来ると、車種名の力はほぼ効きません。

30系(3代目)のオーナーが投稿したQ&Aには、ハイブリッドバッテリーのチェックランプが半年前から点き、端子リセットで乗り続けていたという相談がありました。回答には「バッテリー本体が14万円前後、工賃が1〜2万円程度」とあります。修理費が車両価格の2〜3割に届く水準です。ここが「直して乗るか、売るか」の分かれ目になります。


2位:アクア。電池は強いが、初代と現行が別物すぎる

向いている人:2021年7月以降の現行型に乗っている人。街乗り中心で距離が伸びていない人。

アクアの現行型は2021年7月19日発売。トヨタはこのとき、駆動用車載電池としてバイポーラ型ニッケル水素電池を世界で初めて採用しています。公式発表では、従来型アクアのニッケル水素電池に比べて出力が約2倍。集電体などの部品点数が減るためコンパクト化でき、電池内の抵抗が下がって大電流を流しやすい、と説明されています。

初代アクアは2011年12月26日発売。エントリー価格169万円、JC08モードで35.4km/L。駆動用電池はニッケル水素でした。

世代が変わると、平均価格はここまで開く 2026年9月16日時点の中古車平均価格(掲載価格ベース。買取額ではありません) プリウス 現行(2022.12〜) 324.7万円 4代目(2015.12〜) 163.7万円 3代目(2009.5〜) 61.3万円 アクア 現行(2021.7〜) 190.7万円 初代(2011.12〜) 79.2万円 世代は2つだけ ノート 現行(2020.12〜) 168.4万円 2代目(2012.9〜) 73.8万円 初代(2005.1〜) 29.7万円

アクアで注意したいのは、世代が2つしかないことです。初代の販売期間が2011年12月〜2021年6月と9年半もある。この長さが査定に効いてきます。

年式別の掲載台数を見ると、2015年が766台、2021年が720台、2013年が699台。同じ「初代アクア」の看板の下に、2013年式と2020年式が同居しています。中古車平均79.2万円という数字は、この幅広い塊の平均でしかありません。2013年式の人がこの数字を自分の車の目安にすると、まず合いません。

弱点:初代の中古車平均79.2万円に対し、現行は190.7万円。2.4倍の開きがあります。初代に乗っている人にとって、「アクアは人気車だから」という感覚と実際の査定額のズレが一番大きい車種だと感じました。

もうひとつ、価格帯別の在庫分布を見ると、55〜75万円が1,032台、35〜55万円が991台。初代アクアの実質的な主戦場は35〜75万円です。ここは業者の仕入れ値がかなり細かい勝負になる帯で、10万円単位の差はまず出ません。


3位:ノートe-POWER。保証の中身が一番わかりにくい

向いている人:2020年12月以降の現行型に乗っている人。日産系ディーラーで整備記録を残してきた人。

まず整理します。ノートe-POWERの駆動用バッテリーはリチウムイオンで、保証は特別保証の5年または10万km。ここまでは日産の公式FAQに書かれています。

ややこしいのは、ネット上で「e-POWERは8年16万km保証」という説明を見かけることです。調べた範囲では、8年16万kmという条件は日産のEV(リーフなど)の容量保証のもので、内容は「容量計が9セグメントを割り込んだ場合に修理・部品交換を行い、9セグメント以上へ復帰することを保証」というものでした。e-POWERの駆動用バッテリーに同じ条件が適用されるという記述は、日産の公式ページには見当たりません。

さらに、日産公式中古車サイトのバッテリー延長保証は、対象が24kWh駆動用バッテリー搭載車両で、e-POWER車は対象外と明記されています。

この食い違い、けっこう厄介だと思いました。売る側が「うちのは8年保証だから」と思い込んでいると、査定時の前提がズレます。

「劣化したら直す」保証があるのは、EVだけ EV(リーフ / bZ4X など) 日産:8年または16万km 容量計が9セグメントを割り込んだら修理 トヨタ:10年または20万km 充電容量が新車時の70%を下回れば交換 → 劣化そのものが保証の対象 HV / e-POWER トヨタ:特別保証 5年または10万km 日産:特別保証 5年または10万km 対象は部品の不具合。容量が何%まで 落ちたら交換、という基準の記載はない → 劣化は査定側の減点材料になる ※保証内容・期間は車種ごとに異なる場合があります。手元の保証書で最新をご確認ください。

弱点:保証切れ後の受け皿が、トヨタほど明快ではありません。日産公式中古車の「ワイド保証」は、プレミアム認定中古車で最長2年、認定中古車(30万円以上)で最長1年、30万円以下で3か月。走行距離は無制限です。対象は消耗品・油脂類を除く駆動系・電装系パーツなどとされていますが、駆動用バッテリーの扱いは約款に委ねられています。

トヨタが「初度登録から10年目まで」と車齢で区切っているのに対し、日産は「購入から最長2年」と購入時点からの期間で区切る設計です。売り手から見ると、この違いは意外と効きます。車齢で区切る保証は「古い車でもここまで面倒を見る」という宣言になるからです。

ノートの中古車価格帯は1〜306万円と、3車種で最も裾野が広くなっています。下限1万円という表示が出るのは、初代(2005年1月〜2012年8月)まで含めた数字だからです。初代の中古車平均は29.7万円。ここまで来ると、もはやハイブリッドかどうかの話ではありません。

あるQ&A投稿では「日産のノートE-powerやリーフのバッテリーの交換には40万〜50万円くらいかかるとききましたが、本当ですか?」という質問に対し、回答者が「バッテリー容量は2〜3kWh程度ですからもっと安いと思います」と答えていました。別の回答では「日産ディーラーのフロントさんに金額聞いたことあります。たしか43万円ぐらいだったかな」という書き込みもありました。同じ質問の中で金額の見立てが割れているのが、この分野の現状をよく表していると思います。正確な金額は、販売店の見積もりでしか確定しません。


「ハイブリッドは高く売れる」は何年目で崩れるのか

ここまでの数字を、一本の線に並べ直します。

経過年数 何が起きるか 査定への効き方
〜3年 一般保証(3年・6万km)の中 電池リスクはほぼ減点されない
3〜5年 特別保証は残る 世代交代があれば、そちらの影響が主役
5年ちょうど 特別保証が終了 電池の修理費リスクが買い手側に移る
5〜7年 トヨタ車は認定中古車HV保証の射程内 メーカーで差が開き始める
7〜10年 走行距離が10万kmに届く個体が増える 車検費用との兼ね合いで手放す人が増える
10年超 トヨタのHV保証も期限 車種名より個体の状態が主役になる

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「ハイブリッドは高く売れる」という通説が崩れ始めるのは、5年目。はっきり崩れるのが10年目。3車種を並べてみて、この2段階はかなり明確でした。

ただし、崩れ方には差があります。5年目で急落するのではありません。5年目は「業者が電池リスクを織り込み始める点」であって、落差そのものが大きいのは世代交代のタイミングです。プリウスなら2022年12月、アクアなら2021年7月、ノートなら2020年12月。保証の分岐点と、世代交代の分岐点は別物です。ここを混ぜて考えると判断を誤ります。

個人的には、5年よりも「次のモデルが出た直後かどうか」のほうが査定額に効いている、と読みました。プリウス4代目の163.7万円と現行の324.7万円という開きは、保証の有無だけでは説明がつかない大きさだからです。


公的な数字で確かめる 📊

ここからは、買取業者の営業資料には出てこない数字です。

① いま、オークション相場は高い

中古車の買取価格は、最終的に業者間オークションの落札相場に紐づきます。国内最大手のユー・エス・エス(USS)は、月次のオークション実績をIR資料として公表しています。

USSが毎月公表しているオートオークションの月次データ
USSが毎月公表しているオートオークションの月次データ(ussnet.co.jp・2026-09-16時点の画面)

2026年8月度の実績は次のとおりです。

項目 2026年8月度
出品台数 254,517台
成約台数 169,966台
成約率 66.8%
成約車両単価 1,248千円

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成約率66.8%。出品された車の3台に2台が、その場で買い手を見つけています。単価は124.8万円。中古車の平均的な取引価格が100万円を超えている状態です。

これは売る側にとって追い風の数字です。オークションで売れる確率が高ければ、業者は在庫リスクを低く見積もれるので、仕入れ値(=あなたへの提示額)を上げやすくなります。

② 日本のクルマは高齢化していて、10年落ちが普通

自動車検査登録情報協会が公表している「わが国の自動車保有動向」によると、令和7年3月末時点の乗用車(軽自動車を除く)の平均車齢は9.44年。前年比0.10年の伸びで、33年連続の高齢化、31年連続で最高齢を更新しています。平均使用年数は13.35年で、4年ぶりに長期化に転じました。

前年(令和6年3月末)は平均車齢9.34年、平均使用年数13.32年でした。じわじわ伸び続けています。

この数字、売る人にとってはかなり重要です。街を走っている乗用車の平均年齢が9.4歳なら、10年落ちの車は「古い車」ではなく「ど真ん中」ということになります。3代目プリウスの10〜15万km帯に1,405台の在庫があるのも、この構造の反映です。

「10年落ちだからもう値段つかないですよ」という言い方をされたら、この数字を思い出してください。

③ 売却トラブルの相談は、実際に増えている

国民生活センターは、中古自動車の売却トラブルについて繰り返し注意喚起を出しています。相談件数の推移はこうです。

年度 相談件数
2018年度 1,151件
2019年度 1,229件
2020年度 1,211件
2021年度 1,519件
2022年度 1,157件(2023年1月31日までの集計)

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2021年度に1,500件を超えています。2024年6月18日には改めて「車を売る際は要注意!中古車の売却トラブル」という注意喚起が出されました。

国民生活センターによる中古車売却トラブルの注意喚起
国民生活センターによる中古車売却トラブルの注意喚起(kokusen.go.jp・2026-09-16時点の画面)

一括査定に出す前に、不利益のほうを先に書きます 🔧

高く売れる話だけ書くのはフェアじゃないので、こちらを先に。

一括査定で起きること、段階ごとに ①申込み 情報が複数社へ ②連絡 同時に着信が来る ③実車査定 その場で契約を迫られる ④引渡し後 減額・入金遅延 国民生活センターに寄せられた相談の例 ・オークションの検査で事故車と判断されたとして、引渡し後に減額を求められた ・契約書に記載のないキャンセル料3万円を電話で請求された ・約200万円の振込が何度も延期され、支払われない 中古車の売却にクーリング・オフの適用はありません

電話が来るのは、仕組みの問題です。 国民生活センターの資料には「査定サイトに書き込んだ情報で、複数社から勧誘されることがあります」と、はっきり書かれています。業者側から見ると、一括査定は「見込み客の情報を有料で買っている」状態です。買った以上、他社より先に電話をかけないと元が取れない。だから同時に鳴ります。感情の問題ではなく、コスト回収の構造です。

引渡し後の減額という手口があります。 2023年11月に受け付けられた相談では、40代男性が「事故歴はないと聞いており、自分も事故は起こしていない」のに、オークション検査後に減額を要求されています。国民生活センターは、査定後の修復歴・事故歴を理由とした減額に応じる必要はない、とアドバイスしています。

キャンセル料のトラブルも記録されています。 2024年3月受付の相談では、20代女性が「電話で説明もなく、契約書にも記載のないキャンセル料3万円」を請求されました。

そして、中古車の売却にクーリング・オフは使えません。 これが一番大事です。契約前に、キャンセル条件と支払条件を書面で確認する。それだけでかなり防げます。不安なときは消費者ホットライン「188」があります。

ハイブリッドの場合、この「引渡し後の減額」リスクが少し高めになると読んでいます。駆動用電池の状態は、外から見ただけでは判断が難しい部分だからです。契約書に「後日の減額はしない」旨が書かれているかは、見ておいて損はありません。


よくある質問

Q. ハイブリッドバッテリーの警告が出ています。直してから売ったほうがいい?

車両価格と修理費を並べて考えるのが先です。3代目プリウス(2009年5月〜2015年11月)の中古車平均は61.3万円。Q&A投稿にあった「本体14万円前後+工賃1〜2万円程度」を当てはめると、修理費は車両価格の4分の1前後になります。

直せば査定が上がるのは確かですが、上がり幅が修理費を超える保証はありません。警告が出た状態のまま、複数社に「この状態でいくらか」を聞くほうが判断材料は増えます。修復・修理が必要な状態は隠さず伝えてください。後出しは減額の口実になります。

Q. 10万km超えたら、もう値段はつかない?

つかないわけではありません。プリウスの10〜15万km帯には1,405台の在庫があります。アクアも10〜15万km帯に925台。市場として成立しています。

ただし、価格の主役は走行距離から「整備記録」に移ります。定期点検の記録簿、駆動用電池まわりの整備履歴、保証書。この3点が揃っている個体と揃っていない個体では、同じ距離でも扱いが変わります。

Q. 保証は次のオーナーに引き継がれる?

メーカー保証は車両に紐づいているのが原則です。ただし条件は保証書に書かれています。保証書と整備記録簿は、車と一緒に渡せるように探しておいてください。

紛失していると、査定でマイナスに働きます。 業者は「保証が残っている車」として次の買い手に売れなくなるからです。5年落ち前後の個体では、ここが数万円単位で効きます。

Q. 車検は通してから売るべき?

一般論としては、車検を通してから売るより、切れる前に売ったほうが手取りは残りやすいです。車検費用は10万円前後かかりますが、査定額が同額上がるとは限らないからです。

とはいえ、これは車種と時期によります。車検見積もりを受け取ったタイミングで、一度査定額を聞いてみる。その比較で決めるのが現実的です。

Q. 電話の量を減らす方法は?

申込み時の「連絡方法」の指定欄を確認してください。サービスによって、連絡が来る業者数の上限を設けている仕組みもあります。申込み前に、何社に情報が渡るのかを利用規約で確かめるのが確実です。


この記事のまとめ

  • 駆動用バッテリーの保証は、トヨタ・日産とも「5年または10万km」の早いほう。距離を走っていなくても、5年で終わります(トヨタ特別保証/日産特別保証)。
  • EVには「容量が減ったら直す」保証があるが、ハイブリッドとe-POWERにはない。劣化は保証で救えず、査定側の減点材料として扱われます。
  • トヨタ車は保証が切れた後の受け皿が明快。認定中古車のハイブリッド保証が初度登録から10年目まで/20万km以内で付くため、5年超でも買い手が残ります。
  • 通説が崩れるのは5年目と10年目の2段階。ただし落差が大きいのは世代交代のタイミング(プリウス2022年12月、アクア2021年7月、ノート2020年12月)のほうです。
  • 乗用車の平均車齢は9.44年、平均使用年数は13.35年(令和7年3月末)。10年落ちは市場のど真ん中です。

次にやること:保証書と整備記録簿を探してください。初度登録年月を確認して、5年・10年の分岐点まであと何か月あるかを数える。その残り月数が、あなたの手持ち時間です。査定額を聞くのは、その後で間に合います。

※本文中の価格・台数は2026年9月16日時点の各社公表値です。保証内容は車種・年式により異なる場合がありますので、手元の保証書またはメーカー公式サイトで最新をご確認ください。

出典