車買取の解体新書
  1. 車買取の解体新書
  2. 走行距離10万kmの車はいくらで売れる?年式と距離の効き方

走行距離10万kmの車はいくらで売れる?年式と距離の効き方

走行距離10万kmは本当に価格の壁なのか。自動車検査登録情報協会の残存率データと平均使用年数から、年式と距離のどちらが効くかを分けて整理し、10年10万km車の売り先5つを手間・上振れ余地・弱点で比較します。

走行距離10万kmの車はいくらで売れる?年式と距離の効き方

「そろそろ10万km。売るなら今のうちかな」

メーターが9万km台に入ると、急にそわそわしますよね。10万kmを超えたら値段がつかない、という話をどこかで聞いた覚えがある。でも本当にそうなのか、確かめる方法が分からない。

この記事で整理するのは、年式と走行距離が価格に効く「仕組み」です。国の統計と業界団体の公表資料から、10年落ちの車が日本にどれだけ残っているのか、何年目に手放されやすいのかを数字で追えます。

具体的な金額は、車種・時期・その店の在庫状況で動きます。だからここでは、金額そのものではなく「金額を決めている構造」のほうを書きます。

この記事の目次
  1. 結論から言うと 🚗
  2. 何を見て順位を付けたのか 📋
  3. 5つの売り先を同じ項目で並べる 📊
  4. 1位 買取専門店を2〜3社、自分で選んで回る
  5. 向いている人
  6. 弱点
  7. 2位 申込社数を自分で決められる一括査定
  8. 一括査定で電話が鳴る理由
  9. 向いている人
  10. 弱点
  11. 3位 ディーラー下取り
  12. なぜ下取りは安くなりやすいのか
  13. 向いている人
  14. 弱点
  15. 4位 廃車買取・解体業者に出す
  16. 向いている人
  17. 弱点
  18. 5位 個人売買・オークション代行
  19. 向いている人
  20. 弱点
  21. なぜ同じ車で業者ごとに金額が変わるのか 🔧
  22. 公的データで見る「10万kmの壁」の正体 📊
  23. 13年目の段差と、税金の話
  24. 読者にとっての意味
  25. 平均車齢9.44年、平均使用年数13.35年。10年落ちは「まだ平均」
  26. 軽自動車のほうが長く使われている、ただし注意点あり
  27. 年式が効く車と、走行距離が効く車
  28. 年式のほうが強く効きやすいケース
  29. 走行距離のほうが強く効きやすいケース
  30. 両方効くケースと、輸出という出口
  31. 「10万km」は何年で届くのか。調べたら数字が食い違った
  32. 食い違いをどう考えるか
  33. よくある質問 💰
  34. Q1. 9万km台のうちに売ったほうが得ですか?
  35. Q2. 走行距離のメーターを戻せば高く売れますか?
  36. Q3. 車検が切れそうです。通してから売るべきですか?
  37. Q4. 修復歴があると、どのくらい下がりますか?
  38. Q5. 一括査定に申し込むと、必ず売らないといけませんか?
  39. この記事の数字について

結論から言うと 🚗

時間がない人向けに、3行で先に出します。2026-09-03時点の情報です。

  • 走って不具合がなく、車検が半年以上残っているなら → 買取専門店を2〜3社、自分で選んで回るのが総合1位。手間はかかりますが、比べる相手がいる状態を自分で作れます
  • とにかく電話や交渉を減らしたいなら → ディーラー下取りに、買取店1社だけ足す。上振れは狙わず時間を買う割り切りです
  • エンジンや足回りに不具合がある、車検が切れているなら → 廃車買取・解体業者にも同時に聞く。「売る」より「引き取ってもらう費用をゼロにする」勝負になります

10万kmという数字そのものより、初度登録から何年経ったかのほうが、統計上ははっきりした段差として出ます。 詳しくは後半の一次データの章で。

何を見て順位を付けたのか 📋

順位を付ける記事は、基準を書かないと信用できません。景品表示法の観点でも、根拠のない「No.1」表示は問題になります。

今回は特定の買取業者を比べていません。 売り先の「種類」を比べています。理由は単純で、査定額は車種・時期・その店の在庫状況で動くので、特定の1社を「一番高い」と言える根拠がどこにもないからです。同じ店でも、その月に同じ車種の在庫を抱えていれば安く、注文が入っていれば高くなります。

評価した5つの軸はこれです。

軸 何を見ているか
手間 連絡回数、査定にかかる時間、書類の準備量
上振れ余地 競争が働く構造になっているか。比べる相手がいるか
想定外の負担 電話の量、再査定、キャンセル料などの起きにくさ
10万km車との相性 過走行・年式古めの車を扱う出口を持っているか
透明性 減点の理由や査定根拠が示されるか

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重みは「上振れ余地」と「想定外の負担」を厚めにしています。 10年10万kmの車は、そもそも絶対額が大きくありません。数万円の差を取りに行くために丸一日つぶれるなら、割に合わないと感じる人も多いはずだからです。

そして、1位が全員にとっての正解ではありません。 忙しい人にとって1位はむしろ苦痛です。条件別の答えは冒頭の3行に書いたとおりです。

5つの売り先を同じ項目で並べる 📊

10万km・10年落ちの車 どこに出すか

動く・不具合なし 車検が半年以上残る 買取専門店を2〜3社まわる 輸出の出口を持つ店が混ざると差が出やすい

手間を減らしたい 電話のやりとりが苦手 下取り+買取1社の2択で十分 上振れは狙わない。時間を買う割り切り

不具合あり/車検切れ 修復歴あり・過走行 廃車買取・解体業者にも聞く 引取が無料か、税の還付があるかを確認

どれも「同じ車を、違う出口に流す」という違いです

全候補を同じ項目で横並びにします。◎○△の3段階です。

売り先 手間 上振れ余地 想定外の負担 10万km車との相性 透明性
買取専門店を自分で2〜3社 △ ◎ ◎ ◎ ○
一括査定(社数を絞る) ○ ◎ △ ◎ ○
ディーラー下取り ◎ △ ◎ △ △
廃車買取・解体業者 ◎ △ ○ ○ ○
個人売買・オークション代行 △ ○ △ ○ ○

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「想定外の負担」でディーラー下取りが◎なのは、電話ラッシュが起きないからです。上振れ余地が△なのは、比べる相手がいないからです。この2つは表裏一体で、手間の少なさと金額の上振れは基本的にトレードオフになります。 どちらを取るかは、あなたが今どれだけ忙しいかで決まります。

1位 買取専門店を2〜3社、自分で選んで回る

総合1位はこれです。理由は、上振れ余地と想定外の負担の両方が取れる唯一の形だからです。

自分で選ぶので、電話番号が複数社にまとめて渡ることがありません。それでいて「他社も見ています」という状況は作れるので、競争は働きます。一括査定の良いところだけを、手作業で再現するイメージです。

向いている人

  • 週末に半日から1日、時間を作れる人
  • 電話が一気に鳴るのを避けたい人
  • 10万km前後で、業者ごとの評価差が大きく出そうな車に乗っている人

弱点

面倒です。 店を調べて、予約して、回る。3社なら移動込みで半日は溶けます。

もうひとつ。自分で選ぶ以上、選んだ3社がたまたま全部その車を苦手にしている可能性があります。輸出向けの出口を持たない店ばかり選ぶと、10万km級の車はどこも似たような低めの金額になり、「やっぱりこんなものか」と納得してしまう。ここは一括査定のほうが、意図せず多様な業者に当たるぶん有利なことがあります。

対策としては、大手のチェーン店だけでなく、地場の店を1社混ぜること。それだけで評価の出方が変わることがあります。

2位 申込社数を自分で決められる一括査定

2位です。上振れ余地は1位と同等かそれ以上ですが、電話の負担が大きく減点になっています。

一括査定で電話が鳴る理由

一括査定サービスは、査定の申込情報を買取業者に販売するビジネスです。業者は1件あたりの費用を払って、あなたの連絡先を受け取っています。つまり業者にとって、電話をかけないことは払った費用を捨てることと同じです。だから、鳴ります。しかも「先に会ったほうが有利」という構造があるので、早い者勝ちで一斉にかかってきます。

これは業者が非常識なのではなく、そういう仕組みだから起きます。仕組みが分かれば対処もできて、申込時に社数を絞れるサービスを選ぶ、電話可能な時間帯を明記する、この2つでかなり変わります。

向いている人

  • 複数社の金額を比べたいが、店を自分で調べる時間はない人
  • 電話にある程度対応できる人
  • 車種が特殊で、どの業者が強いか自分では見当がつかない人

弱点

社数を絞れないサービスを選ぶと、申込直後から数十分の間に何本も着信が来ます。 これは事前に覚悟が要ります。

また、査定後に「やっぱり売らない」となったときの引き止めが強いことがあります。契約書にサインする前なら断れますが、契約後のキャンセルには条件が付くことがあるので、署名する前に解約条件を読むのは必須です。ここは面倒でも飛ばさないでください。

3位 ディーラー下取り

多くの人が最初に考える選択肢です。3位にしたのは、金額の上振れが構造的に起きにくいからです。

なぜ下取りは安くなりやすいのか

これも業者側の事情です。新車ディーラーは、自社の中古車店で売れる年式・状態の車を欲しがります。 10年落ち10万kmの車は、多くの場合そこに乗りません。すると、引き取った車は業者間オークションに流すか、業販で他社に回すことになります。

自分で小売できない車は、「オークションで売れるであろう金額」から手数料と手間を引いた額が下取りの上限になります。買取専門店のうち、その車を直接小売できる店や、輸出の出口を持つ店は、この中間マージンを一段飛ばせる。だから差が出ます。

一方で、下取りには新車の値引きと合算で交渉できるという良さがあります。「下取りが安い代わりに車両値引きが大きい」という形になっていることもあるので、下取り額だけを見て怒るのは早計です。合計の支払額で比べてください。

向いている人

  • 同じ店で新車・中古車を買う予定が既に固まっている人
  • 手続きを一度で終わらせたい人
  • 車を2台持っておらず、乗り換えの間の足がない人(下取りなら納車と引き取りを同日にできることが多い)

弱点

比べる相手がいないので、その金額が妥当かどうか判断する材料がありません。買取店1社だけでも金額を聞いてから商談に行くと、それだけで判断材料になります。聞くだけなら30分です。

もうひとつ。下取り額の内訳が示されないことが多く、透明性は△としました。

4位 廃車買取・解体業者に出す

「売る」の選択肢から外れがちですが、条件によってはこれが最善になります。

過走行で、修復歴があり、車検も切れている。この状態だと買取店では値段がつかないどころか、引き取りに費用を請求されることがあります。そのとき、解体を本業にしている業者は、鉄などの資源価値と使える部品の価値で評価するので、話が変わることがあります。

向いている人

  • 動かない、または車検が切れて動かせない車
  • 修復歴があり、走行距離もかなり多い車
  • 「1円でもいいから費用をかけずに手放したい」人

弱点

上振れはまず期待できません。 資源価値ベースなので、金額の天井が低い。まだ普通に走る車をここに出すと、確実に損をします。

また、業者によって引取料の扱いが違います。無料引取りをうたっていても、地域や車の状態で条件が変わることがあるので、引取料と、自動車税・自賠責の還付の有無は必ず先に確認してください。

5位 個人売買・オークション代行

手数料を挟まないぶん、理屈のうえでは手取りが増えます。実際、代行手数料だけで済むオークション代行は、条件が合えば買取店より高くなることがあります。

向いている人

  • 名義変更や書類の手続きを自分でやれる人
  • 売り急いでいない人(買い手が付くまで待てる)
  • ある程度の知識があり、車の状態を正確に説明できる人

弱点

弱点がかなり多い選択肢です。

  • 引き渡し後の不具合でトラブルになりやすい。個人間には販売店のような保証の枠組みがない
  • 名義変更が完了しないと、自動車税の通知が自分に届き続ける
  • 代金の受け取りと引き渡しのタイミングをどうするか、自分で設計しないといけない
  • オークション代行の場合、出品しても落札されない(流札)と手数料だけかかることがある

車を売った経験がない人には、率直におすすめしません。 5位にしているのはそのためです。

なぜ同じ車で業者ごとに金額が変わるのか 🔧

ここまで何度か「業者側の事情」と書いてきたので、まとめて整理します。仕組みが分かると、提示額を見たときに自分で判断できるようになります。

査定額は、ざっくり言うと次の引き算でできています。

その業者がその車を売れる金額 −(整備・輸送・出品などの費用)−(利益)= 提示額

つまり、「売れる金額」が業者ごとに違えば、提示額も違って当然です。何が違うのか。

1. 出口が違う。 自社の店頭で小売できる業者、業者間オークションに流す業者、輸出する業者。この3つでは、同じ車から得られる金額が違います。特に過走行の車は、国内小売より輸出のほうが評価される場合があります。

2. 在庫の状況が違う。 同じ車種の在庫を既に3台抱えている店は、4台目を高く買う理由がありません。逆に、その車を探している顧客がいる店は高く買えます。これは車の状態と関係なく金額を動かします。

3. 時期が違う。 決算期や、その車種の需要期かどうかで変わります。

4. 減点の付け方が違う。 修復歴の判定は業界統一基準があります。自動車公正取引協議会の資料によると、修復歴(骨格部分を交換または修復した履歴、という意味です)の判定は日本自動車査定協会・公取協・日本オートオークション協議会の3団体で同一基準とされていて、2019年4月からは損傷の大きさがカードサイズ(8.5cm×5.4cm)を超えた場合に修復歴と判定するというルールになっています。ここは統一されているのですが、内外装の傷や装備の評価は業者裁量の幅があります。

実務的な意味はこうです。「なぜその金額なのか」を聞いたときに、出口と在庫の話が出てくる業者は、根拠を持って値付けしています。 逆に「相場です」の一言で終わる場合は、もう一社聞いてみる価値があります。

公的データで見る「10万kmの壁」の正体 📊

一般財団法人 自動車検査登録情報協会(自検協)が毎年公表している「わが国の自動車保有動向」には、初度登録年度別の残存率という表が載っています。これは、その年度に新車登録された台数のうち、基準日時点でまだナンバーが付いている台数の割合です。

2025年3月末時点の乗用車計(軽自動車を除く)の残存率を並べると、こうなります。

乗用車(軽を除く)の残存率 2025年3月末時点

100% 75% 50% 25%

10年半 71.6%

13年半 53.1%

16年半 30.5%

0.5年 5.5年 10.5年 15.5年 20.5年 初度登録からの経過年 出典:自動車検査登録情報協会「平均車齢」令和7年版

数字で見ると、こうです。

経過年 残存率 前年からの下げ幅
9.5年 75.81% −5.78pt
10.5年 71.58% −4.23pt
11.5年 67.70% −3.88pt
12.5年 62.75% −4.95pt
13.5年 53.11% −9.64pt
14.5年 47.12% −5.99pt
15.5年 40.73% −6.39pt
16.5年 30.49% −10.24pt
17.5年 22.92% −7.57pt

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10年目のところに、目立った段差はありません。 9.5年→10.5年の下げ幅は4.23ポイントで、その前後と比べて特別に大きいわけではない。

代わりに、12.5年→13.5年で9.64ポイント、15.5年→16.5年で10.24ポイントという、明らかに大きな落ち込みが2か所あります。

13年目の段差と、税金の話

13年目の段差について。東京都主税局の説明によると、自動車税種別割には「グリーン化税制」があり、ガソリン車・LPG車は初度登録から13年を超えると税率が概ね15%重くなります(ディーゼル車は11年超、バス・トラックは概ね10%)。電気自動車やハイブリッド車などは対象外です。

自家用乗用車の標準税率は、東京都の場合1リットル以下で25,000円、1〜1.5リットルで30,500円、3〜3.5リットルで57,000円。57,000円の車が概ね15%重課されると、およそ65,550円になります。

時期が重なっているのは事実です。 ただし、これが原因だと断定はできません。残存率は「ある時点での断面」であって、同じ車を追いかけたデータではないからです。13.5年の枠に入るのは2011年4月〜2012年3月に登録された車で、この年度は東日本大震災の影響を受けています。年度ごとの事情が数字に混ざり込んでいる可能性もあります。

言えるのはここまでです。「13年超で税負担が上がるタイミングと、保有台数の落ち込みが大きいタイミングは重なっている」。因果関係の証明ではありません。

読者にとっての意味

売る側の実感に翻訳します。

10万kmと10年落ちが同時に来る車は多いですが、統計上の「残っている車の割合」で見ると、10年目より13年目のほうが大きな区切りに見えます。 そして13年目には、税金という具体的な追加負担が実際に発生します。

「10万kmになる前に売らなきゃ」と焦っている人がいたら、いったん落ち着いて、初度登録の年月を車検証で確認してみてください。 そこから13年目が近いかどうかのほうが、判断材料としては具体的です。

平均車齢9.44年、平均使用年数13.35年。10年落ちは「まだ平均」

もうひとつ、自検協のデータから。似た言葉が2つ出てくるので、先に区別します。

  • 平均車齢:今ナンバーが付いている車が、初度登録から何年経っているかの平均。人間で言う「平均年齢」
  • 平均使用年数:初度登録から抹消登録されるまでの平均年数。人間で言う「平均寿命」に近い

2025年3月末時点の数字です。

平均車齢と平均使用年数 乗用車

平均車齢/登録車 9.44年

平均車齢/軽 9.79年

平均使用年数/登録車 13.35年

平均使用年数/軽 16.46年

0年 10年 18年

登録車は2025年3月末、軽は2025年12月末。集計方法が異なり単純比較はできません

読み方を、あなたの車に翻訳します。

平均車齢が9.44年ということは、今の日本の乗用車の平均が9.4歳ということです。 10年落ちの車は、平均より少し上、くらいの位置。「もう古い」と自分で決めつけるほど珍しい存在ではありません。33年連続で高齢化が進んでいて、31年連続で最高齢を更新しています。

平均使用年数が13.35年ということは、抹消されるまで平均13年以上使われているということです。 10年目はまだ、平均的な寿命の4分の3にも届いていません。

車種別に見ると差があります。普通乗用車(3ナンバー)は平均車齢8.72年・平均使用年数12.74年、小型乗用車(5ナンバー)は平均車齢10.34年・平均使用年数13.97年。 小型車のほうが1年半以上長く使われています。

軽自動車のほうが長く使われている、ただし注意点あり

軽自動車検査協会のデータでは、2025年12月末時点の軽乗用車(自家用)の平均車齢は9.79年、平均使用年数は16.46年です。登録乗用車の13.35年より3年以上長い。

ただし、ここは注意が必要です。2つの数字は集計方法が違います。

  • 軽自動車検査協会の平均使用年数は「各年の永久返納車両」が対象
  • 自検協の平均使用年数は、初度登録年度ごとの保有台数の減少分を抹消とみなす方式で、一時抹消登録も含まれる

自検協自身が資料の注記で、減少台数には一時抹消された自動車も含まれるため「自動車が完全にスクラップされるまでの年数とは若干異なる」と説明しています。輸出のために一時抹消される車が減少としてカウントされるので、登録車の数字は短めに出やすい構造です。

この差を「軽のほうが3年長持ちする」と読むのは危険です。 定義が違う数字を並べているサイトは多いので、注意してください。

年式が効く車と、走行距離が効く車

さて、本題の「年式と距離、どっちが効くのか」です。

年式と走行距離、どちらが先に効くか

高値がつく帯 ただし売る理由が薄い 乗り続ける人が多い

距離が主に効く 長距離通勤・社用車など 年式の新しさが下支えする

年式が主に効く 距離が少なくても年数の壁は来る 13年超の税負担も重なる

両方が効く 国内小売より輸出の出口が主役 扱える業者かどうかで差が出る

年式が 新しい 年式が 古い

走行距離が少ない 走行距離が多い

同じ「10万km」でも、年式の位置によって意味が変わります

年式のほうが強く効きやすいケース

距離が少ないのに年式が古い車です。年に3,000kmしか乗らず、13年で4万km、というような車。

この場合、走行距離は武器になりますが、年式由来の要素は距離では打ち消せません。 ゴム部品やバッテリー、樹脂の劣化は走らなくても進みます。加えて、13年超の税負担、そして車検の回数。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトによると、自家用乗用自動車の車検有効期間は初回3年、2回目以降は2年です。13年目の車はすでに6回目の車検を迎えている計算になります。

さらに、中古車を買う側の検索行動として、年式で絞り込む人は多い。「年式で候補から外れる」という形で、距離の少なさを見てもらう前に落ちることがあります。

走行距離のほうが強く効きやすいケース

年式は新しいのに距離が伸びている車です。3年で12万km、というような車。営業車、長距離通勤、地方で移動距離が長い場合に起こります。

この場合、年式が新しいことによる装備・安全性能の優位は残るので、値段がゼロになることはまずありません。ただし、車の主要部品の消耗は距離に比例する部分が大きいので、次に買う人の整備費用の見込みが減点として効いてきます。

両方効くケースと、輸出という出口

10年10万kmはここに入ります。そして、この帯で金額差を生む最大の要因が輸出です。

日本自動車会議所が日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の統計をもとに公表した数字によると、2025年の中古車輸出台数は前年比9.1%増の170万8,604台で、3年連続の過去最高。仕向け地はUAEが25万2,637台で2年連続の首位、タンザニアが53.8%増の11万7,489台と伸びています。

日本で「10万km超えは古い」とされる車が、道路事情や整備事情の違う国では十分現役です。この出口を持っている業者と、持っていない業者では、同じ車の「売れる金額」が変わる。 1位の章で「輸出の出口を持つ店を混ぜる」と書いたのは、この構造があるからです。

軽自動車が登録車より長く国内に残る(平均使用年数が長く出る)のも、日本独自規格で輸出需要が相対的に小さいことと関係している可能性があります。

「10万km」は何年で届くのか。調べたら数字が食い違った

「年間1万km」という目安をよく聞きます。これで計算すると10万kmは10年。平均車齢9.44年とも合うので、「10年10万km」がセットで語られるのは自然に見えます。

ところが、日本自動車工業会の乗用車市場動向調査を見ると、話が合いません。

2023年度調査では、主運転者の月間走行距離の平均は362km。「〜300km」の区分が58%を占めています。単純に12倍すると、年間約4,340km。この計算だと10万kmに届くのに23年かかります。平日の1日当たり走行距離は平均19km、休日は平均28kmという数字も載っていて、こちらとも整合します。

同じ調査で平均保有期間は7.2年(新車から乗った場合7.7年、中古車から乗った場合6.2年)、「10年超」保有が24%。2025年度調査でも平均保有期間は7.2年で変わっていません。

つまり、この調査の平均的な世帯の車は、手放すまでに3〜4万km程度しか走っていないことになります。10万kmまで乗る人は、平均から見るとかなり走るほうだ、ということです。

食い違いをどう考えるか

差が生まれる理由として、次のようなことが考えられます。

  • この調査は世帯保有ベースで、複数保有世帯が35.7%あります。あまり乗らないセカンドカーが平均を押し下げている可能性
  • 自己申告の設問なので、実測値ではありません
  • 一方、国土交通省の自動車燃料消費量調査は走行キロを調査項目に含んでいますが、これは事業用も含む選定車両の調査で、家庭の乗用車の実感とは母集団が違います

どちらが正しいという話ではなく、「何の平均か」が違います。 ここを混ぜて語っている記事が多いので、注意してください。

実務的な意味はこうです。あなたの車が10年で10万kmなら、あなたは平均よりよく走らせている側です。 逆に、10年で5万kmなら、業者から見て「距離が少ない」と評価される可能性があります。自分の車の走り方が平均のどちら側にあるかを知っておくと、査定額の説明を聞くときの理解が変わります。

よくある質問 💰

Q1. 9万km台のうちに売ったほうが得ですか?

「10万kmを1kmでも超えたら急落する」とよく言われますが、残存率のデータで見ると、10年目に目立った段差はありません。 大きな落ち込みは13年目と16年目です。距離の区切りより、年数の区切りのほうがデータとしては見えやすい。

実務的には、9万km台後半なら、そのタイミングで一度査定を取っておく価値はあります。査定額そのものが判断材料になるからです。ただし「9万km台のうちに売らないと大損する」という前提で焦る必要はない、というのがデータから言えることです。

Q2. 走行距離のメーターを戻せば高く売れますか?

やめてください。メーターの改ざんは犯罪です。 加えて、現在は車検記録や整備記録から走行距離の履歴が追えるようになっており、業者の査定では履歴との矛盾がチェックされます。発覚すれば契約解除や損害賠償の対象になります。

Q3. 車検が切れそうです。通してから売るべきですか?

多くの場合、通さずに売るほうが手取りは大きくなりやすいと考えられます。車検にかかる費用がそのまま査定額に上乗せされる保証はないからです。次に買う人が車検を取り直すことを前提に値付けされるためです。

ただし、これは一般論です。車検が残っている状態と、切れている状態の両方で見積もりを取るのが確実です。切れていると自走できず、業者側に引き取り費用が発生するので、そこが減点になることもあります。

Q4. 修復歴があると、どのくらい下がりますか?

下げ幅は車種や状態によって変わりますが、判定基準そのものは統一されています。

自動車公正取引協議会の資料によると、対象は7つの骨格部位(クロスメンバー、サイドメンバー、インサイドパネル/ダッシュパネル、ピラー、ルーフ、センターフロアパネル/フロアサイドメンバー、リヤフロア)で、損傷の大きさがカードサイズ(8.5cm×5.4cm)を超えると修復歴と判定されます。骨格は溶接接合されている部分のみで、ネジ止め部分は骨格に含みません。

バンパーやドアを交換しただけでは修復歴になりません。 ここを誤解して「事故車だから値段がつかない」と思い込んでいる人は多いです。中古車を販売する際には自動車公正競争規約に基づいて修復歴の有無を表示する義務があるので、隠して売ることはできません。

Q5. 一括査定に申し込むと、必ず売らないといけませんか?

いいえ。査定は査定であって、売買契約とは別です。契約書に署名する前であれば断れます。

ただし前述のとおり、契約後のキャンセルには条件が付くことがあります。 署名する前に、キャンセル条件・引き渡し日・入金日を必ず確認してください。口頭の説明だけでなく、書面で確認するのが安全です。

この記事の数字について

最後に、注意点をまとめておきます。

残存率のデータは、同じ車を追いかけたものではありません。 2025年3月末という1時点の断面です。各年度の新車販売台数の変動や、震災・補助金といった年度固有の事情が混ざっている可能性があります。「13年目に大きな落ち込みがある」は事実ですが、「13年目になると価値が急落する」の証明ではありません。

平均使用年数の登録車と軽の数字は、集計方法が違います。 単純比較はできません。

税額は東京都の例です。 自動車税種別割は都道府県税なので、お住まいの自治体の税率を確認してください。数値はいずれも2026-09-03時点のもので、最新の情報は各公式サイトで確認してください。

そのうえで、この記事から持ち帰ってほしいことは3つです。

  1. 10年落ち・10万kmは、統計上まだ「平均に近い」車です。 平均車齢9.44年、平均使用年数13.35年。焦って投げ売りする段階ではありません
  2. 距離の区切りより、初度登録からの年数のほうが、データでは明確な段差として見えます。 車検証で初度登録年月を確認してください
  3. 同じ車でも、業者の出口によって「売れる金額」が変わります。 だから比べる相手を作ることに意味がある。1社だけの金額では、それが妥当かどうか判断できません

売る・売らないを決めるのはあなたですが、判断材料が増えれば、少なくとも「よく分からないまま言われた金額で手放した」ということにはならないはずです。

出典